【企画編#02】『面白い』とは何なのか?

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企画編・第2話では『面白い』と感じる仕組みについて解説していきます。ゲームの中にも『面白い』ゲームと『面白くない』ゲームがあると思います。ではこの『面白い』とは一体何なのでしょうか?面白いゲームを作るためにも、この『面白い』がどこから来るのか、どうすれば得られるのかをグッと掘り下げてみましょう。

目次

「面白い」とは何なのか?

普段から何気なく使っている『面白い』という言葉。「あの芸人さんは面白い」「この料理、面白い味がする」「面白い旅行だった」などなど。人によっても面白いと感じるモノはバラバラです。人が面白いと感じるのはどんな時でしょうか?どんなモノを面白いと感じるでしょうか?

 

まず、この「面白い」を理解するためには人の『感情』を知る必要があります。

何故なら人が面白いと感じる時には必ず感情が動くからです。

誤解がないように先に言っておきますが【感情が動く=面白い】というわけではありません。その時の状況によって感情が動いても面白いと感じない時もあります。その辺を詳しく理解するためにも、まずは『感情』について少し説明していきたいと思います。

 

人が感情を持つ理由

感情とは何なのか?それを突き詰めていくと心理学を深く理解しなければならないので簡単な説明にとどめますが、端的に言えば「生きていくための学習装置」だと思ってください。

感情は大きく2種類に分けられます。

①ポジティブな感情(楽しい・幸せ・嬉しい…etc)

ポジティブな感情は、ごはんを食べたり、寝たりといった生きていくための欲求が満たされた時に湧いてきます。また他にも、誰かに認められる(承認欲求)、人に好かれる・人と共感する(親和欲求)、道徳的に良いことをする(擁護欲求)など、人が持つ欲求が満たされた時にそれを幸せだと感じることが出来ます。

「その行いをするのが好きだ、嬉しい」と感じることで、環境に適応した行動(成長)を積極的に行うことができます。しかし、人間の欲求は尽きることがないので、欲求が満たされても時が経てば感情は元に戻ってしまいます。

②ネガティブな感情(怖い・腹が立つ・悲しい・悔しい・不安…etc)

ネガティブな感情は、まず生命の危機を回避するためという理由があります。例えば登山中に熊に遭遇した場合、「恐怖」などのネガティブな感情が湧くことでその場所・その行動が危険であることを学習し、2度とそのような目に合わないよう行動します。また、誰かに怒られる、人に共感してもらえない、などといった欲求が満たされない時にも「悲しみ」や「不安」といった感情が湧くことで「不快さ」を感じます。この「不快さ」がストレスの原因になることが多いのですが、この不快さを回避し、ポジティブな感情になれる行動をとろうとするわけです。

このように、2種類の感情どちらも『人の欲求』が満たされるか・満たされないかが軸になっており、人は『感情』によってとるべき行動を決定しています。

 

感情は五感によって判断される

感情が湧く時、それがポジティブな感情か、ネガティブな感情かは、『五感』から入ってくる情報によって判断されます。五感とは「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」ですね。

例えば美しいモノを見たり、心地よい音色や言葉を聞いたり、気持ちイイ触感に触れたりすることで、「これは好きだ・良いものだ」と判断してポジティブな感情が湧きます。逆に説教を聞かされたり、変な匂いがしたり、寒い・暑いなどを肌で感じたりした時には「嫌だ・危険だ」と判断して不快な感情が湧きます。

赤ん坊は、何でも触ったり口の中に入れちゃったりしますよね。これは五感によって良いモノ・危険なモノを判断しているわけです。最近(というほど最近でもないですが)映画館では4DXというものが登場しました。今まで視覚と聴覚だけでしか感情を沸かせられなかった映画に、匂いや風、座席の振動などを使って嗅覚・触覚からも情報を与えることで、より多く・より大きく感情を沸かせるようにしているわけです。

 

「面白い」と感じる感情

感情が欲求を原点にしていることが分かったところで、「面白い」と感じるための感情について大きく2つのポイントに分けて説明していきます。

そのポイントとは『興味深い(interesting)』と、『楽しい(Funny)』です。

 

興味深い(interesting)

興味深いとは、その人が経験したことのない、または知識にはなかったことに出くわした時に湧く感情(認知欲求)です。人は今まで出会わなかった特別なモノを理解することを面白いと感じます。特別である(普通じゃない)ことそのものが面白いのです。これによってより多くの知識を得ることに積極的な行動をとることができるわけです。同じモノに対しても面白いと感じる人と面白くないと感じる人がいるのは、その人にとって「何を特別と感じるか」が生きてきた環境や経験・知識によって違うためです。田舎育ちと都会育ち、男性と女性、大人と子供、日本人と外国人、ライトゲーマーとヘビーゲーマーなどで面白さの感じ方は違うわけです。

遊び・エンターテイメントにおいても、「ターゲット」が過去に出会ったことのない「特別な何か」があれば、それ自体で面白いという感情を沸かせることができます。逆に興味が湧かないモノに対しては「面白い」と感じることはないのです。

 

楽しい(Funny)

楽しいと感じることはポジティブな感情に当てはまります。私個人の考え方になりますが、この楽しいという感情は自分の意志』で『欲求を満たそうと行動をとっている』時に得られる感情だと考えています。

まず大切なのが『自分の意志』です。誰かに言われたからやっていたり、やらなきゃいけないという義務感でやっていたりしても、楽しいと感じることは出来ません。勉強や仕事などでも、自分の意志でやっている人は楽しいと感じるながらやることができます。

もうひとつは『欲求を満たそうと行動をとっている』ことです。「欲求を満たせた」という結果だけではなく、「欲求を満たそうと行動をとる」という過程であっても楽しいと感じることができます。

例えば、RPGをプレイしていて、強いボスが立ち塞がって先に進めない場面があったとします。その時にプレイヤーはどのように突破するかを「自分の意志」で考えて「ボスを倒すための行動をとる」ことをします。ザコ敵を倒して経験値をためレベルを上げよう、お金を稼いで街で売っている強い武器を手に入れよう、と人によって方法は違うと思いますが、その乗り越えようとする過程でもすでに楽しいと感じることができるわけです。

 

「面白い」と感じるための感情は、この『興味深い』と『楽しい』のどちらか、もしくは両方が絡み合って成り立っています。先のRPGの例えで言えば、どんなに楽しいと思っていても、ずっとそれを続けていればいつかそれが普通(特別じゃない)になってしまって段々と興味はなくなっていきます。また、どんなに興味深いゲームであっても、隣りで人から「次はこれやって」「ココはこうして」と指示されたら自分の意志がなくなって楽しくなくなってしまいます。逆に最初は興味がなかったけど、やってみたら楽しくて興味が出てきたというパターンもあると思います。

 

ネガティブな感情の必要性

「面白い」と感じる感情についてもう1つ考えなければならないことがあります。それはネガティブな感情についてです。一見すると恐怖・怒り・悲しみ・不安などのネガティブな感情は「面白い」には不要な印象があります。

ところが、人は「恐怖」を体験するお化け屋敷やジェットコースターといったアミューズメント、悲劇的で「悲しい」映画なども「面白い」と言いますよね?怖ければ怖いほど、悲しければ悲しいほど良いとされています。何故なんでしょうか?

 

まず、これらのエンターテイメントにおけるネガティブな感情は、生命の危機がないことが大前提です。そして必ず時間が来れば終わる(ゴールがある)ことも皆知っています。その前提がある上で、人間には日常では味わえない感動がしたい・特別な経験がしたい・刺激が欲しい・悲劇的になりたいといった欲求を満たしたいと思っています。もしも「脱線して本当に死んでしまうかも知れないジェットコースター」があったら、それは生命の危機に対する恐怖なので絶対に乗りたくはないはずです。

 

緊張と緩和

ネガティブな感情を抱いている時、この瞬間は面白いとは感じていません。お化けが突然バーンと現れて「ギャー!面白いー!」と絶叫する人はいませんし、悲しい映画を見ている最中「ウワーン、面白いー」と号泣する人はいません。この時人はストレスを与えられている状態、緊張状態になっています。その緊張状態(不快さ)から解放された瞬間、緊張が緩和されて初めて面白いと感じるのです。お化け屋敷や映画館から出て、もう緊張していない状態で初めて「あー、面白かった」と言えるわけです。この緊張と緩和は他のエンターテイメント(ゲーム、漫才やコントなどのお笑い)などでも大切とされています。

 

実はゲームはストレスだらけ?

ゲームにおいても緊張、ストレスを与えてネガティブな感情にさせることは当たり前に使われています。他のエンターテイメントと決定的に違うのは、ゲームはその緊張・ストレスを自分の力で解消しなければならないことです。例えばギリギリじゃないと飛び越えられない落とし穴(ストレス)を用意し、それを自分のテクニックで乗り越えさせる。物凄くイライラする敵役(ストレス)がいて上手く攻撃を当てないと倒せない。などなど。ストレス解消のためにゲームをやっているつもりが、実はゲームでも常にストレスを与えられ続けて、それを乗り越えることを要求されているんですね。ですが、このストレスを自分の意志で解消しようと行動をとっていることが「楽しい」に繋がっているわけです。逆にいつまでたってもゲームが上手くならなかったり、いつまで経ってもクリアできない理不尽な難易度だったりすると、ずっとストレスを与えられ続けている状態なので、嫌になってやめてしまうという危険性もあるのです。

 

まとめ

最後にここまでの内容をまとめてみましょう。

★人が面白いと感じる時には必ず感情が動く。

★感情とは人が生きていくための学習装置。人の欲求が満たされるかどうかが軸になっており、感情によってとるべき行動を決定している。

★ポジティブな感情、ネガティブな感情は、五感から入ってくる情報によって判断される。

★面白いと感じる時のポイントは『興味深い(interesting)』と『楽しい(Funny)』。興味深い=特別である(普通じゃない)ことそのものが面白い。楽しい=自分の意志で欲求を満たそうと行動をとっている。

★生命の危機がなく、必ず終わることが分かっていればネガティブな感情も大切。緊張状態(不快さ)が緩和されて初めて人は面白いと感じる。ゲームは緊張状態・ストレスを自分の力で解消しなければならない。

いかがだったでしょうか?人間の欲求というのは、実はかなりたくさんの種類が存在しているんですが、それらが日常で満たされるのは実は少ないんです。だから人は娯楽というのを求めるのでしょう。それが【企画編#01】でも書いた『問題』と『期待』にも繋がっていくと思います。

あなたがゲームをする時、どんな部分を面白いと感じるか、自分の気持ちに問いかけながらプレイしてみると新しい気付きがあるかも知れません。

 

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