【企画編#01】『企画』の意味を理解しよう!

LINEで送る
Pocket

01a

企画編・第1話は「企画」について理解を深めていきたいと思います。良いゲームの企画を立てるためには、まずこの「企画」とは何なのかを知らなければいけません。

目次

企画って何?

皆さんも日常の中でこの「企画」という言葉を1度は聞いたり使ったりしたことはあるんじゃないかと思います。文化祭のイベントを企画するとか、部活の親睦会を企画するとか。仕事においても、ゲーム開発だけに限らず色々な業種で企画職というものが存在しています。

しかし学生の皆さんはこの企画の意味をあまり考えずに「何となく」使っている場合がほとんどのような気がします。改めて「企画とは何か?」と問われると、その本質を一言で答えるのは難しいのではないでしょうか?

企画という言葉を調べてみると、【ある事をするため、計画を立てること。もくろみ。】とあります。が、この言葉通りに意味を受け取っても、企画の本質は見えてきません。

そもそも何のために計画を立てる必要があるのでしょうか?

その理由にこそ、企画の本質があります。

 

企画の本質とは

結論から言ってしまえば、企画の本質は『問題解決』です。

これはありとあらゆる企画に共通していて、テレビゲームも例外ではありません。

 

人は「問題」と「期待」を抱いている

人は日々の生活の中で、大なり小なり何かしらの不満や悩みとなる『問題』を抱えています。例えば目覚ましをいくつ掛けても朝起きられないとか、学校が遠くて登下校の移動が大変とか、部活の先輩が嫌な人だとか、人と上手く会話出来ないとか…。それは自分では解決できない事だったり、あるいは問題を問題として自覚していなかったりする場合もあります。

それと同時に、「こうなればいいのに」「こんなモノがあったらいいのに」といった『期待』もどこかで抱いています。この期待していることとは、問題を解決する具体的な手段まではっきりと思い描けているわけじゃなく、あくまで求めているのは結果だけの場合がほとんどです。

そんな『問題』を解決し『期待』に応えることこそが、企画を立てる本来の意味なのです。

 

例えば、料理のたびにフライパンを焦がしてしまう主婦の方がいたとします。この人は、フライパンの焦げ付きを何とか出来ないだろうか?という悩みと、楽しく快適に料理を作りたいという期待を持っています。

%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%a8%e6%9c%9f%e5%be%85

そんな人のために「絶対に焦げ付かないフライパン」を企画し提供することが出来たら、その主婦の問題を解決することが出来るわけです。

%e5%95%8f%e9%a1%8c%e8%a7%a3%e6%b1%ba

 

どうやって解決するかはノウハウ次第

この例では「絶対に焦げ付かないフライパン」が解決方法でしたが、別に解決方法は1つではありません。この主婦が持つ「楽しく快適に料理をしたい」という期待に応えられるなら、別の方法だっていいわけです。

例えば、フライパンの焦げ付きを強力に分解する洗剤や、ちょっとこするだけで焦げ付きが取れるスポンジ、あるいはフライパンを使用しなくても調理できる食品でもいいかも知れません。ポイントは問題に着目した人がどんなノウハウ(知識・技術)を持っているかということです。金属加工のノウハウを持つ人なら焦げ付かないフライパンを企画出来るでしょうし、樹脂や繊維のノウハウを持つ人ならスポンジを企画出来るといった具合です。

%e8%a7%a3%e6%b1%ba%e6%96%b9%e6%b3%95

 

【誰かが抱いている期待】と【自分の持っているノウハウ】が今までにない新しい組み合わせであった場合、それこそが『アイデア』と呼ぶべきモノであり、企画の出発点になるのです。

 

企画は人に提供されなければ全く価値はない

よく誤解されがちなこととして「企画とは斬新なアイデアを出すこと」と思っている人がいるのですが、それが人の問題を解決する「実現可能」なアイデアでなければ、ただの机上の空論、全く意味などありません。

アイデアを出し、それを実現するために計画し、実際に行動を起こし、期待を抱いている人へ提供して、そこで初めて企画の価値が試されるということを覚えておいて下さい。

 

良い企画は人の行動を変化させる

問題を解決し、人の期待に応えることは『企画の本質』ですが、問題が解決されたか・期待に応えられたかどうかは、その後の人の行動によって証明されます。良い企画というのは人の行動を変化させる力を持っているからです。

例えば先の例に挙げた、フライパンの焦げ付きに困ってた主婦の場合、問題が解決されたことでその後の行動はどう変化するでしょうか?料理をするのが楽しくなって料理をする回数が増えるかも知れません。後片付けの時間が減ることで、のんびり過ごす時間が増えるかも知れません。今まで1人で作っていた料理を子供や夫と一緒に作るようになるかも知れません。

このように、生活習慣や人との付き合い方など、その人の行動を変化させるような【影響】を与える企画が『良い企画』です。良い企画を生み出そうと考えるなら、問題解決の先にどのような行動の変化が起こるかをイメージすることが重要です。

そして世の中の多くの人の行動を変えるような【影響】を与えると、それが社会現象・ブームと呼ばれる現象を引き起こすのです。

 

ゲームにおける「問題」と「解決」

さて、ここまで企画の本質について説明してきましたが、「果たしてゲームにもこの話が当てはまるのか?」と疑問を感じる人もいるのでないかと思います。例に出したフライパンの焦げ付きの話は「物理的な問題」であり、ゲームで同じように物理的な問題が解決されることはほとんどないからです。結論から言えば「ゲームにもこの本質は当てはまる」のですが、ゲームが解決できる「問題」と、人がゲームに求める「期待」は何なのか?について詳しく説明していきます。

%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%a8%e6%9c%9f%e5%be%85%ef%bc%92

まず大半のゲームは、初めてゲームを遊ぶ人でも分かりやすく、そして徐々に上手くなっていけるように設計されています。プレイヤーは体験したことのない刺激的な出来事に直面し、その中で少しずつ色々な事が出来るようになり、自分の力でより大きな課題を達成できるようになります。これこそが多くのゲームにおいて一番大きなウェイトを占める「問題」と「期待」です。

つまり、現実世界の自分は成長を実感することが難しい、大きなことを成し遂げることもない、またはその努力をするのが楽しくない、同じような毎日を繰り返し刺激的な出来事も起きない、というような『問題』を抱えていて、それをゲームの中で解消されることを『期待』しているということです。

なんだかこれだけ見ると、ゲームをする人がダメダメな人生を送っているみたいに見えますが、決してそうではないので誤解をしないで下さい。ゲームは段階的に課題をこなし、短時間で大きな達成感を与えるよう作られており、なおかつ現実とは違い、達成したことに対して必ず称賛をしてくれます。だから現実以上に夢中になりやすく、ユーザーがそれに期待をするのは必然とも言えるのです。

 

ゲームにおいては、この問題解決が基本とも言えますが、もう少し掘り下げて具体的な例も挙げてみましょう。

例えば「現実の自分はモテない」といった『問題』に対し、「こんな高校生活に憧れていた」「自分に好意を寄せてくれる異性がいてほしい」といった『期待』を充たしてくれる恋愛ゲーム。

例えば【現実では自分は誰からも頼りにされない】【自分に特別な能力はない】という『問題』に対し、【特別な力を持つ存在になりたい】【多くの人から頼られたい】といった『期待』を充たしてくれるファンタジーRPG。

例えば【休み時間や移動時間などにちょっとヒマを持て余してしまう】という『問題』に対し、【どこでもサクッとプレイできてヒマな時間をつぶせる】という『期待』を充たしてくれるスマホゲーム。

などなど。こうして見ると、ゲームも本質的には問題解決であることが分かるのではないかと思います。ただゲームや映画などのエンターテイメント性のあるコンテンツが他と生活品などと違うのは根本的な問題の解決にはならないということです。当たり前ですがゲームをプレイしただけで突然異性にモテモテになるようなことはないということです。ただユーザーもそのような根本的な解決をゲームに期待していないというところがミソです。

余談ですが、シリアスゲームという根本的な問題解決を目的とするジャンルも存在します。(エンターテイメント性と1番の目的とせず、教育・医療用途(学習要素、体験、関心度醸成・喚起など)といった社会問題の解決を主目的とするコンピュータゲームのジャンル※ウィキペディアより引用)

 

ゲームユーザーは問題を自覚していないことが多い?

皆さんがゲームを買う時や遊ぶ時には何を基準に選びますか?大抵の場合「何となく面白そう」と思って手に取るのではないかと思います。自分自身で問題を自覚してゲームをプレイする人はごく少数なのではないでしょうか。

ゲーム以外の生活品の場合、それを宣伝する時にまずその人が抱える「問題」を自覚させるパターンが多いです。例えばテレビショッピングやCMなどでも「毎日の掃除にお困りのあなた!この掃除機があれば毎日の掃除が快適に!」とか「ダイエットしたくても運動が続けられないあなた!このベルトを着ければテレビを見ているだけでウェストがみるみる細くなります!」とか。

でもゲームの広告や宣伝ではそのパターンはほぼありません。それもそのはずです。先に挙げたような問題があるのだとしたら「同じような毎日を繰り返してつまらない人生を過ごしているあなた!このゲームで刺激的な出来事を体験しましょう!」とか「現実では誰からも頼られないそこのあなた!このゲームで世界中から頼られる勇者になれます!」とか言われても嫌な気分になるだけです。そんなこと言われたら買う気が失せてしまいます。だから宣伝する方もわざわざそんなこと言いません。ユーザー自身が「期待」を想像できるような情報だけを見せるのです。でも、ゲームを作る側はこの問題をキチンと認識していなければいけません。でないとユーザーが求める期待とはかけ離れたゲームになってしまう可能性があります。

 

ゲームで人の行動はどう変わる?

『良い企画は行動が変化する影響を与える』という話をしました。では、ゲームによって行動はどう変化するのでしょうか?おそらく皆さん自身もゲームによって行動が変化した経験がきっとあるはずです。

例えば【ゲームセンターに通うようになった】【学校が終わったら一目散に家に帰るようになった】【休み時間のたびにスマホを開くようになった】【生活リズムが変わった】【そのゲームの話題で友達と話すようになった】【友達の家に集まるようになった】といったことです。他にも【ゲームのキャラクターに影響されて格闘技を始めた】【好きなキャラクターの言動を真似するようになった】【コスプレを始めるようになった】【自分でもゲームを作りたくてプログラムを始めた】などなど。もちろん良い影響ばかりとは限らないでしょうが、このように行動が変化するような影響を与えるゲームは良い企画と言えます。

このブログを書いている2016年12月現在、最も分かりやすい例として挙げられるのは2016年流行語大賞のトップテンにも入った『ポケモンGO』です。世界中で社会現象になりましたが、このゲームの影響で多くの人がスマホを持って街を歩くようになりました。大きな行動の変化です。さらに宮城県石巻市ではポケモンGOを活用した観光イベントで10万人の観光客、20億円の経済効果をもたらしたり、今までポケモンシリーズをプレイしたことのなかった人も、その後発売されたポケットモンスターサン・ムーンを購入したりと、その後の行動にも大きな影響を与えています。まさに人の行動に変化を与えた良い企画の典型例だと思います。

 

 

企画のプロセス(図解)

ここまでの説明を簡単な図にしてみました。

%e4%bc%81%e7%94%bb%e3%81%ae%e6%b5%81%e3%82%8c

 

プロセスの解説

①アイデア(発想)

◇ターゲット・コンセプト

 誰がどんな問題や期待を抱いていて、それをどう変えたいか?ということをまず考えます。この2つは表裏一体で、どちらが欠けても成り立ちません。また、このコンセプトは航海で目的地を示す羅針盤のようなものです。途中で絶対に変わってはいけません。ここがしっかり定まっていないと、途中でどこを目指していたのか分からなくなります。そしてこのターゲット・コンセプトは⑤インパクト(影響)と同義でもあります。

◇アプローチ

 企画を実現するためにどういう方法や手段を取るのかを、自分(チーム・組織)が持つノウハウから考えます。最初からノウハウを持っていなくても、計画を実行している最中にそのノウハウを手に入れられるのであれば、それでも良いです。ターゲット・コンセプトが絶対に変わってはいけない羅針盤だとすれば、アプローチは目的地に辿り着くための移動手段です。法律やモラルに反しない限り、どんな手段を使おうが構いませんし、途中で変わっても構いません。

【ターゲット・コンセプト】と【アプローチ】はどちらから考え始めても良いと思います。ただし、最終的には両方がしっかりと噛み合わないと良い企画は実現しません。

②プラン(計画)

①で立てたアプローチをより細かく・正確に、実現するための計画を立てます。企画を実現するためにどんなノウハウを持つ人がどれだけ必要で、どんな風に役割を果たしてもらうのか?どんな設備が必要か?どれだけの期間が必要か?等々、細部まで決めて「これなら確実に遂行できる」という見通しを立てます。逆に計画を立てる段階で問題があればその対処を考えなくてはいけません。

③アクション(実行)

②で立てた計画に沿って、実際に行動を起こします。しかし必ずしも計画通りに事が運ぶとは限りません。想定しない問題が起こった場合、その都度問題を解決する方法を考え、時には計画を見直すこともしなくればいけません。また何かを開発している場合、当初の目的(コンセプト)を忘れてしまったり、方向を間違えて進んだしまったりすることも起こり得ます。常にコンセプトを確認し「何のために今こんなことをしているのか?」をしっかりと意識してアクションを続けることが大切です。

④リリース(提供・発表)

計画を実行し、必要な準備が全て整ったら、いよいよターゲットにその成果を提供します。実際にターゲットがその成果を使用(利用)する過程で1つ重要なポイントがあります。それはターゲットがその発表されたモノを認識するタイミングです。まず「こういうモノがある」「こういうことができる」とターゲットにキチンと理解してもらう必要があります。その段階で「別に必要ない」と思われたら手に取ってさえもらえず、その時点で企画は失敗です。いかにターゲットの心に響く、期待を持たせる発表が出来るかが非常に重要です。

⑤インパクト(影響)

提供した成果によって、①で掲げたコンセプト通りにターゲットの問題を解決し、行動が変化するような影響を与えられたかどうかがここで分かります。影響の大きければ社会現象・ブームが起こりますが、全ての企画で社会現象を狙う必要はないと思います。大切なのはいかに「狙ったターゲットに影響を与えられたか」です。

⑥リサーチ(研究・調査)

プロセスの本流ではありませんが、このリサーチも企画の上で非常に重要です。特にアイデアの段階で「この人はこういう問題を抱えている」ということをしっかりと調べる必要があります。企画が上手くいかない人の傾向として「多分こうだろう」と独りよがりな予測だけで事を進める人が多いです。人が求めている期待が何なのかしっかりと分析することが企画成功の近道です。

これらのプロセスによって企画は成り立っています。そしてこの過程で得た知識や経験が新たなノウハウとなって蓄積され、また新しい企画を生み出すヒントになるのです。

事業活動でよく使われる【PDCAサイクル】…plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の流れと同じです。ゲーム開発は別に特別なものでもなんでもなく、他の仕事と同じなのです。

 

まとめ

最後に今回の企画の話のポイントをまとめてみました。

★企画の本質は問題解決である。

★アイデアとは【誰かの期待】と【自分の持っているノウハウ】の新しい組み合わせである。

★良い企画は人の行動を変化させる影響を与える。世の中の多くの人に影響を与えると、それが社会現象・ブームとなる。

★ゲームユーザーは現実の問題がゲームの中で解決されることを期待している。しかしそれを自覚していることは少ない。

★企画とは【アイデア】【プラン】【アクション】【リリース】【インパクト】【リサーチ】のプロセスによって成り立っている。

★企画のプロセスで得た知識や経験がノウハウとして蓄積し、新しい企画を生み出すヒントになる。

いかがだったでしょうか?基礎編ということで掻い摘んだ説明になりましたが『企画』はまだまだ奥が深いです。是非この先は皆さん自身で問題解決となる『企画』を立て、実践してみてほしいと思います。『企画』は意外と身近なことでも可能です。友達の誕生日にサプライズイベントを企画する、生活の困ったことを解決するモノを作ってみる、などなど。まずは自分の持つノウハウで『企画』を立ててみて、その本質やプロセスを経験してみて下さい。その経験はゲーム開発にも必ず役に立ちます。

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク

LINEで送る
Pocket