いただきます【PART9】~コンテストへ応募~(終)

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いよいよ今回でこの「いただきます」制作の話は最終回となります。

目次

いざ、コンテストへ応募

前回まででゲームを完成させましたが、それが2014年6月30日。私が応募しようと思っていたセンス・オブ・ワンダーナイト2014(以後SOWN2014)の正確な応募〆切は7月7日でした。

「なーんだ、まだ1週間もあるじゃん」と油断することなかれ。このコンテストの応募にはゲームをプレイできる実行データの他に、エントリーシートプレイ動画が必要です。エントリーシートには日本語で800文字程度のゲーム概要を記入する必要もあります。要するにこのゲームの面白さや意義を「文章」「映像」で伝える必要があるのです。ここで手を抜いてはいけません。まず私はこの2つが、それぞれ別の目的を持ってゲームについて伝えるべきだと考えました。そうでなければ文章と映像の両方を送る意味がないと思ったからです。

まずは文章。本来であればこのゲームがどう面白いか、どう遊ぶのかを記入するなのかも知れませんが、私は「このゲームの存在意義」に重点を置くことにしました。ゲームの面白さを映像以上に伝える方法はないと考えたからです。

以下の文章はエントリーシートに記載した文章そのままになります。

「いただきます」という挨拶には2つの意味があります。

①料理に関わる全ての人への感謝

 ②料理に使われた動植物の命を、自分の命としていただくことへの感謝

しかし、日本人の美徳とも言える「いただきます」の精神は徐々に失われています。その証拠に、日本では毎年5500万トンもの食糧を輸入しておきながら、約1/3に当たる1800万トンもの食糧を食べもせずに廃棄しています。 このゲームは、そんな感謝の気持ちを忘れ、ご飯が食べられる事を当たり前だと思っている人達に向けて作られています。ゲームを通して「いただきます」の精神を伝え、食べ物に対する意識を変える事で食糧の廃棄量を減らし、飢餓に苦しむ国へより多くの食糧が行き届く事を目的としています。そして食生活に悩む必要がなくなるほど豊かな生活が送れるようになれば、そこから新たなゲームユーザーを増やす事が出来ると考えます。

このゲームのルールは「目の前のご飯を残さず食べればクリア」です。ただし「いただきます」をせずに食べ物を口にする、食べ物を床に落とす(粗末に扱う)、行儀良く食べない(席から離れる)と、厳しいお仕置きを喰らいゲームオーバーとなります。 このゲームでは、プレイした人が日常の食事時にも「いただきます」の挨拶を思い出せよう以下の3つの工夫を施しています。

 ①プレイヤーの脳裏に焼き付く、ショッキングでインパクトのあるお仕置きシーン

 ②自分の日常とリンクするような、現実に酷似した世界観・ステージ

 ③現実の食事でも「食べる」動きを意識してしまう操作性

2013年12月4日、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本の食文化が注目される事は、「いただきます」の精神を世界に広めるチャンスです。心の中だけでなく、「行動として」感謝の気持ちを表に出す人が増える事で、より多くの人が食べ物に対する意識に目を向く事を望んでいます。

(782文字)

…この文章だけ読むと、このゲームがとても真面目なゲームのように感じられます。(いや、実際真面目な気持ちで作ってはいたのですが。)この真面目な文章と、実際のゲームのハチャメチャさが上手い具合にギャップになればという狙いもありました。

 

そして次にプレイ動画です。

もう一切、何も説明していません。このゲームは映像だけで強いインパクトを残せるモノになっているという自信があったからです。むしろ説明よりも、よりインパクトの強いシーンを撮ることに時間を掛けました。ただ、入れたいシーンが多すぎて動画時間が長すぎたことと、やっぱり少しは説明を入れた方が良かったなと、応募した後で少し後悔しました。

このエントリーシートとプレイ動画、そして完成したゲームデータの全てを用意できたのが7月5日。2日の余裕を持って、遂に応募することができました!

 

目標は達成できたのか!?

応募が終わってしまえば、あとは結果を待つのみ…というわけでもありません。当然東京ゲームショウのプレゼンテーションの場に立つことを目標としているので、約2ヵ月後に行われるゲームショウに向けて、時間の許す限りゲームのクオリティを上げ続けていきます。そんなこんなで時が経った8月の終わり頃、公式サイトで最終プレゼンにノミネートされた作品が発表されました!

 

私の名前は………ない!?

 

まぁ、事前に連絡が来ていない時点である程度予想はしていたんですが、人生いつも上手くいくとは限らないものです。残念に思いながらサイトを下の方まで見ていると…

な、何かいたー!!

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最終ノミネートは果たせませんでしたが、どうやら1次審査は突破していたようです。全く箸にも棒にも掛からなかった訳じゃなかったみたいで、少しだけ安堵しました。(後々知ったのですが、審査員の中には私の作品を最終まで残そうと評価してくれた方がいたみたいです。)この瞬間、もう私の中で次の目標は決定しました。ここまで来れるなら、上手くいかなかったことを分析して、来年こそは絶対にプレゼンテーションの場に立ってリベンジしてやると!

 

結果を分析し、次へ繋げる

今回は目標を達成することが出来ませんでしたが、ここで終わっては意味がありません。何故ダメだったか、どうすれば上手くいくかを考えて、次に活かすようにしていきます。

ゲームデザインの方向性

今回のゲームで最大のミスは「失敗することが面白い」という方向性を目指してしまったことだと思います。本来のゲームとは真逆の方向を目指しましたが、結局制作をしていく中で、プレイヤーが上手くなっていけるようなレベルデザインを無意識のうちにしてしまっています。確かに失敗した時のインパクトは出ていると思うのですが、逆に「上手く操作できると面白くなくなってしまう」という点が解決出来ないままでした。このため、たくさんの人にプレイをしてもらうと、みんなわざと失敗して、真剣にクリアを目指そうとしなくなってしまう、という現象が起きました。「食べ物を大切にしてほしい」という信念とは真逆の行為になっていることで、このゲームの存在意義が失われてしまった気がします。また、罰のパターンも鉄球1種類しか用意できなかったので、飽きるのが早いという問題もありました。

遊び方に対する新しさ

結局このゲームは、プレイヤーが1人でカチャカチャとコントローラを操作して遊ぶゲームです。その姿は従来のゲームと何も変わりません。遊び方、あるいは遊びそのものに新しさや意外性が足りていないなということも原因だと思います。

取り組むタイミング

上記の問題には制作の中盤には気付いていましたが、方向性を変える時間がすでに取れなくなっていました。約1ヵ月半という短い期間だと、新しいゲームデザインに挑戦してもしダメだった時、別の方向へ舵を切るのはかなり無茶です。次はもっと早い時期に試作を作り、方向性を見極める猶予を持つべきだと感じました。

★次に目指すべきもの

「日本人ならではの価値観で海外の人へ新鮮な印象と笑いを与える」というコンセプトとターゲットはこのままでもいいと思います。次は別のアプローチ方法を探しつつ、遊び方・遊びそのものの新しさを追求していこうと思います。そしてその新しさは、ゲームプランナーらしく、「技術」ではなく、あくまで「アイデア」で勝負したいと思います。

 

ひとまずここまでで「いただきます」の制作話は終了です。この経験談が何かしらみなさんのモノづくりに役に立つことがあれば幸いです。

※翌年、SOWNに応募した「杵男と臼子」という作品で、見事リベンジを果たすことになるのですが、それはまた別の話として記事にしていきたいと思います。

 

おまけ

プレイ動画の録画中に偶然見つけたテクニックを紹介します。フォークを使わなくてもご飯が食べられてしまうというプレイです。

偶然の要素が多すぎるので狙ってプレイするのは至難の技です。

 

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